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がん治療 前立腺がん

病 態

 前立腺とは、男性だけにあり、膀胱の出口に尿道を取り囲むようにあるクルミ大の臓器です。精子の運動機能を助ける前立腺液を作っています。
 前立腺癌は、生活の西欧化の伴い増加しており、とうとう2015年癌罹患数第1位となりました。
 前立腺癌は、家族性がある事などから遺伝因子の関与は言われていますが、後天的要因に関しては、あきらかなものはありません。
 前立腺がんの症状は、早期ではほとんどありません。あっても頻尿、排尿困難、尿勢減弱など前立腺肥大症の症状です。進行してきますと血尿、浮腫、骨疼痛などが出てきます。前立腺癌を早く発見するためには、50歳を超えたら検診などで採血時にPSA(前立腺特異抗原)を測定してもらうと、その値により、早期発見に繋がります。PSAは、すべての腫瘍マーカーの中で最もすぐれています(感度80%)。PSAの基準値は、4ng/ml未満で、4ng/ml以上の場合は泌尿器科での精密検査が必要となります。精密検査は、経直腸エコー、直腸診断であり、癌の所見が無いかチェックします。その後、前立腺針生検を行います。針生検とは、前立腺に実際に針を刺し、組織に癌が無いか調べる検査です。当科では、入院することなく、外来で無麻酔にて経直腸エコーで見ながら穿刺を行います。15分前後で終了します。
 この生検で癌が発見されれば、CT、MRI、骨シンチにて転移がないか調べ、臨床病期を決めていきます。
 また、PSA高値で前立腺生検検査を受けて癌と診断される以外に、前立腺肥大症手術の病理組織結果などから診断されることもあります。

前立腺癌治療の必要性と治療法選択

前立腺癌の進展度分類(日本泌尿器科学会 前立腺癌取扱い規約より)

T-原発腫瘍

TX 原発層の評価が不明
TO 原発腫瘍を認めない
T1 触知不能、または画像診断では診断不可能な臨床的に明らかでない癌
T1a 組織学的に切除組織の5%以下に偶発的に発見される腫瘍
T1b 組織学的に切除組織の5%を越え、偶発的に発見される腫瘍
T1c 針生検により確認(たとえばPSA上昇による)される腫瘍
T2 前立腺に限局する腫瘍
T2a 片葉に浸潤する腫瘍
T2b 両葉に浸潤する腫瘍
T3 前立腺の被膜を越えて進展する腫瘍
T3a 被膜外へ進展する腫瘍(片葉または両葉)
T3b 精嚢に浸潤する腫瘍
T4 精嚢以外の隣接組織(膀胱頚部、外括約筋、直腸、鋸筋に浸潤する腫瘍

N-所属リンパ節

NX 所属リンパ節の評価が不可能
NO 所属リンパ節転移なし
N1 所属リンパ節転移あり

M-遠隔転移

MX 遠隔転移があるかどうか不明
MO 遠隔転移なし
M1 遠隔転移あり
M1a 所属リンパ節以外のリンパ節転移
M1b 骨転移
M1c 他の部位への転移
T1c 針生検により確認(たとえばPSA上昇による)される腫瘍

前立腺癌の治療法

下記治療法を組み合わせることも多いです。

手術療法

前立腺全摘除術
前立腺と尿道、前立腺と膀胱を切り離して、前立腺と精嚢を取り出します。
当科では、開腹手術で行っています。ロボット支援手術を行っている施設もあります。

放射線療法

外照射
当院では、リニアックを用い、36回の外来通院治療(2か月弱)を行っています。
そのほかに、小線源療法(ヨウ素125シード線源)、内照射療法(イリジウム192)、さらには、粒子線治療(重粒子線治療、陽子線治療)などを行っている施設もあります。

内分泌療法

 体内の男性ホルモンを低下させたり、その作用を抑制する治療法です。
 男性ホルモンは主に精巣でつくられるため、外科的に精巣を摘除する方法と薬物療法があります。薬物療法には、LHRHアゴニスト(注射)とLHRHアンタゴニスト(注射)があります。どちらも精巣摘除の時と同様、男性ホルモンを低下させます。
 また、男性ホルモンの作用を抑えるのに、抗アンドロゲン剤を併用することも多くあります。
 これらの治療が効かなくなると女性ホルモン剤投与をすることもあります。

化学療法

 内分泌療法が効かなくなった前立腺癌に対し行っております。点滴治療や、最近は内服治療剤がでてきており、状態に応じて薬物を選択します。

無治療経過観察療法

 おとなしい癌と判断されたり、治療のメリットよりデメリットが大きいと考えられるときなど、年齢なども考慮して、PSAを定期的に測定し、無治療で経過観察することもあります。

そのほかの治療法

 当院では行っておりませんが、ペプチド療法(癌に対する抗体を利用)、遺伝子治療(アデノウィルスを利用)など行っている施設もあります。

終わりに

前立腺癌は早期発見が大事です。
50歳を超えたら、採血でPSAを測定しましょう。

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