独立行政法人労働者健康安全機構 九州労災病院

脳血管内科

診療科の特色

脳血管内科は主として脳梗塞や一過性脳虚血発作(脳梗塞の前ぶれ発作)の診療を担当しており、特に発症早期の症例については血栓溶解療法や脳血管内治療を積極的に行っております。

脳卒中・循環器病対策基本法に基づき、脳卒中の予防推進と迅速かつ適切な治療体制の整備がすすめられています。日本脳卒中学会により、24時間365日t-PA投与が可能な一次脳卒中センター(PSC:Primary Stroke Center)や機械的血栓回収療法が常時実施可能な脳卒中診療の中心的施設(PSCコア施設)の認定が毎年行われています。当科でも脳神経外科と協力して認定に資する診療体制を維持しており、2022年7月には脳卒中相談窓口を開設し、脳卒中療養相談士が中心となり多職種で脳卒中に関する相談支援を開始しました。

新たな抗血栓薬や中和薬の認可、血栓回収療法の適応拡大など脳卒中診療はこの数年で大きく変貌しています。血行再建術の適応については、脳神経外科と緊密な連携を図り、合同カンファレンスにおいて患者さんごとに最適な治療方針を決定してまいりました。2024年5月には血管撮影装置が更新され、さらに安全で効率的な脳血管内治療が可能となりました。

当院には脳卒中の専門病棟および脳卒中リハビリテーション看護認定看護師を含む専門スタッフが治療・看護にあたります。脳卒中および神経疾患の基幹施設として、診療や臨床研究に邁進し地域医療に貢献することが私たちの使命です。

診療科の特色

スタッフ紹介

  • 有廣 昇司

    • 脳血管内科科長
    • 脳血管内科部長
    • 栄養管理部部長

    (1996年卒)

    有廣 昇司
    有廣 昇司
    診療科
    脳血管障害/老年病学
    所属学会
    日本脳卒中学会認定脳卒中専門医・指導医/日本老年医学会認定老年科専門医・指導医/日本内科学会総合内科専門医・認定内科医
  • 鶴﨑 雄一郎

    • 脳血管内科副部長

    (2008年卒)

    鶴﨑 雄一郎
    鶴﨑 雄一郎
    診療科
    脳血管障害/脳血管内治療
    所属学会
    日本脳神経血管内治療学会専門医/日本内科学会認定内科医
  • 安部 大介

    • 脳血管内科医師

    (2016年卒)

    安部 大介
    安部 大介
    診療科
    脳血管障害
    所属学会
    日本専門医機構認定内科専門医
  • 脇坂 祐毅

    • 脳血管内科医師

    (2018年卒)

    脇坂 祐毅
    脇坂 祐毅
    診療科
    脳血管障害

対象とする主な病気

得意とする診療分野
  • 脳梗塞ならびに一過性脳虚血発作の急性期治療
  • 頭頸部血管病変の評価および治療
  • 脳卒中の再発予防
行っている検査 【脳全体の評価】頭部CT、頭部MRI
【脳血流の評価】脳血流シンチRI(SPECT)、頭部MR(ASL法)
【頭頸部血管の評価】頸動脈エコー、頭部・頸部MRA/CTA、脳血管撮影
【発症原因や機序の評価】心臓エコー(経胸壁および経食道)、下肢静脈エコー、 24時間心電図、等

左中大脳動脈分枝閉塞(左:頸部CTA / 右:RI(SPECT))

左中大脳動脈分枝閉塞

左内頸動脈狭窄(左:頭部MRA / 右:頭部MR(ASL法))

左内頸動脈狭窄

診療実績

超急性期の脳梗塞症例に対する血栓溶解療法(tPA治療)や血管内治療(血栓回収)を積極的に施行しています。

2020年 2021年 2022年
再開通療法(t-PA、血栓回収など) 17 16 16
頸動脈ステント 3 6 3

臨床研究

患者さんにご協力をいただき下記のような治験の実施、および臨床研究へ参加しています。

福岡脳卒中データベース研究(Fukuoka Stroke Registry: FSR)

福岡県内の8施設による多施設共同研究です。ご承諾をいただいた急性期脳卒中患者様のデータを登録し、追跡調査を行っています。脳卒中の予防・診断・治療の発展に寄与することを目標としています。

啓蒙活動

脳卒中のことを皆さまと一緒に学び、より深く理解していただくために脳卒中教室を開催しています。

入院中の患者様を対象とした病棟での脳卒中教室

脳卒中リハビリテーション看護認定看護師2名が中心となり、入院中の患者さまとご家族を対象として「脳卒中とはどんな病気か」についてお話します。

病棟看護師が作成したパンフレットやAct FAST(アクト・ファスト)カードを無料で配布しています。入院中の患者さまが対象のため、参加を制限させていただくことがありますのでご了承ください。

病棟での脳卒中教室

「脳卒中教室」が日本テレビ「世界一受けたい授業」(平成28年4月9日放送)で紹介されました!

Act-FASTを用いたセルフチェック方法

脳卒中は再発しやすい病気です。脳卒中の症状は多彩ですが、中でも「顔」「腕」「言葉」の症状は、脳卒中の可能性が高いことが報告されています。

セルフチェック方法① セルフチェック方法②
10月29日 -世界脳卒中Day-

世界脳卒中Dayにあわせて、地域住民の方々を対象として、院内医師や看護師を中心とした脳卒中予防に関する啓蒙イベントを予定しています。内容の詳細については、当院ホームページでお知らせします。

世界脳卒中Day

北九州・脳卒中患者と家族の会

患者様やご家族が集まって、お互い悩んでいることや、こうしたらよいというアドバイスなどを話し合う機会として毎月第1金曜日午後3時~4時に開催しています。

  • 現在、新型コロナウイルス感染症の影響で、Web開催となっています。
  • ご参加を希望される方はホームページをご確認の上、ご連絡下さい。

日本脳卒中協会 北九州市支部

日本脳卒中協会では、2021年度から10月を「脳卒中月間」として、1ヶ月間、集中的に啓発活動を行っており、北北九州支部でも公開セミナーを開催しています。

  • 【令和3年(2021) 標語】 「大丈夫ほっときゃ治る」が命取り
  • 【令和4年(2022) 標語】 脳卒中 予防に勝る 薬なし
  • 【令和5年(2023) 標語】 脳受診まで 早さが勝負 脳卒中
  • 【令和6年(2024) 標語】 脳卒中 予防で伸ばす 健康寿命

脳卒中相談窓口のご案内

当院では脳卒中の医療・看護・介護について、脳卒中療養相談士が中心となり、多職種でさまざまな相談に対応させて頂いております。

対象となる方
当院入院中の脳卒中の患者様・ご家族、過去に脳卒中になったことがある患者様・ご家族。
相談の内容

脳卒中にすることならどのような内容でもお受けします。

  • 脳卒中の治療
  • 転院や退院後の生活
  • 脳卒中の予防や再発予防について
  • お仕事のこと
  • 経済的な不安
  • 社会資源の利用
脳卒中相談窓口の場所

当院1階 患者サポートセンター(平日 9:00~16:00)

相談料は無料です。