独立行政法人労働者健康安全機構 九州労災病院

緩和的放射線治療

緩和的放射線治療

放射線治療は主に‘がん’に対して行われます。その目的は根治と緩和に大きく分けられます。根治的放射線治療は、‘がん’の消滅、完治を目標に行います。一方、緩和的放射線治療は、患者様の苦痛となっている‘がん’による症状を緩和する目的で行います。

当院で施行可能な緩和的放射線治療
  • 骨への転移による疼痛の軽減、消失
  • 脳への転移による頭痛、神経症状の改善
  • 食道、気道への圧排による狭窄の改善
  • 脊椎(背骨)への転移による脊髄麻痺の症状改善
  • ‘がん’からの出血の止血
放射線治療の内容
  • 放射線の回数や期間
    土日、祝日以外の連日照射、1回の照射時間は10分程度です。通常は3グレイx10回(2週間)、短期であれば4グレイx5回(1週間)、6-8グレイ1回のみ(単回照射)
  • 病態や症状、患者様の希望によって、入院か外来通院かが決まります。症状が軽ければ、外来通院治療も充分に可能です。
受診の方法
  • 当院治療中の患者様であれば、主治医より院内紹介。他院治療中で、放射線治療を当院でご希望の患者様は、患者サポートセンター(地域連携室)で当科受診の予約を取って受診してください(予約制)。
効果
  • 骨への転移による疼痛の軽減、消失
    疼痛緩和率は60-90%、疼痛消失率は30%前後です。整形外科での固定術も疼痛緩和に有効であり、連携を取って最適治療を実施します。
  • 脳への転移による頭痛、神経症状の改善
    多発性であれば、脳全体への照射、少数個であれば定位的放射線治療(令和5年春に開始予定)が有効です。
  • 食道、気道への圧排による狭窄の改善
    食道の通過障害や呼吸苦の改善を目的とします。
  • 脊椎(背骨)への転移による脊髄麻痺の症状改善
    整形外科医と手術の適応も検討して対応することになります。この病態は、転移性脊髄圧迫の状態であり緊急的な加療が必要となります。早めの受診、検査、治療が必要です。
  • ‘がん’からの出血の止血
    60-80%に止血効果がみられますが、一時的な止血効果となることもあります。
副作用
  • 治療部位によって異なりますので、受診時に放射線治療専門医から詳細な説明を行います。緩和的放射線治療は、根治的放射線治療の半分程度の線量ですので、副作用が重症化することは少ないです。

症状緩和に対する放射線治療はとても有効です。主治医や当院(患者サポートセンター)へご相談ください。