大腸がんとは
大腸は、結腸、直腸、肛門からなる2mの臓器です。日本人の大腸がんのできやすい部位は、直腸とS状結腸で70%を占めています。
大腸がんは、大腸粘膜から発生し大腸壁に次第に浸潤していきます。進行するにつれてリンパ節転移や肝臓、肺といった遠隔臓器への転移(血行性転移)を起こしてきます。
早期発見には、便潜血検査が有効です。早期の発見ができれば完治する可能性が高くなります。少し進行して肝臓や肺に遠隔転移が認められても、条件により手術で根治できる場合もあります。切除が困難な転移が発見された状況では、延命および生活の質の向上を目的に放射線治療や抗がん剤治療(化学療法)を行います。
検査と診断
大腸がんの可能性があると、がんのある場所や転移がないかなどを調べるために注腸造影検査(バリウム検査)、内視鏡検査、CTやMRI検査などを行います。
治療
治療を始める前にがんの病期(ステージ)を判断します。0期、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期に分類されます。病期は大腸壁に度程度浸潤しているか(深達度)、およびリンパ節転移、遠隔転移の有無で決まってきます。治療方法は、病期にもとに大腸がん研究会の「大腸癌治療ガイドライン」に沿って判断します。
内視鏡治療(ESD,EMR)
内視鏡を使って大腸の内側から、がんを切除する方法です。その後、切除した病変の顕微鏡検査(病理検査)を行い、がんが残っていないか、加えて転移や再発の危険性を判断していきます。結果によっては、追加の治療(外科手術)が必要な状況もあります。
外科手術
大腸がんの治療は、外科手術による切除が基本です。がんのある腸管のみではなく周囲のリンパ節の切除(リンパ節郭清)も行います。
頻度の多い直腸がんでは、直腸が骨盤内深く泌尿生殖器(膀胱や子宮など)に近いため、排便、排尿、性機能に障害が起きることがあります。また、がんの存在する位置によっては人工肛門の造設が必要とする場合があります。
最近では、腹腔鏡手術という方法もあります。これは、おなかに小孔をつくり、そこから小型カメラを挿入し画像をみながら手術する方法です。より拡大された状況で手術が可能になり、がんの手術を格段に進歩させたといわれています。
放射線治療
放射線治療は、直腸がんで手術前後の補助療法として"骨盤内局所の再発の抑制"や"手術前のがんの縮小"および"肛門を温存する手術"目的で行うことがあります。また、対症療法として"がんによる疼痛軽減"や"脳転移にたいする症状改善"にも行います。
抗がん剤(化学療法)
大腸がんの抗がん剤治療は、"外科手術後のがん再発を予防するための治療"と"外科手術で切除困難な進行がんや外科手術後の再発がんに対して延命および生活の質の向上"を目的に行います。